
館内とオンラインのハイブリット開催でアリラン・ブックトークVol.12『ことばの杖 李良枝エッセイ集』を開催しました。ゲストには李良枝さんの実妹でザ・サードアイコーポレーション代表取締役の李栄さんをお招きしました。会場とオンライン合わせて76名が参加しました。(2024/10/26)
ゲストの李栄さん(写真左)と司会の鄭栄桓さん(写真右)
— 12回目のアリラン・ブックトーク:事務職員の感想
アリラン・ブックトークでは、毎回、宣伝のための言葉を探す旅から始まります。SNSで発信するには、ただの紹介では足りない。心に刺さる一節や、その本を通して感じた何かを届けたい——だからこそ、まずは本をパラパラとめくり、言葉に耳を澄ますのです。
12回目となった今回も、同じように本を手に取りました。『ことばの杖 李良枝エッセイ集』。この一冊は、作家・李良枝が“李良枝”になるまで、そして作家となった後の想いを、魂ごと綴ったようなエッセイ集です。読み進めるうちに、宣伝文句を考えるプレッシャーも忘れて、ただただ本に引き込まれていきました。
家庭や学校、社会との摩擦のなかで育まれた思春期の叫び——それは、在日朝鮮人としての葛藤であり、女性としての「役割」への違和でもあり、重層的で鋭い問いかけに満ちています。その言葉たちに、私自身も思春期の記憶を引っ張り出されるようで、懐かしくも胸の痛む時間が否応なく押し寄せてきました。時間はないのに、気づけばページをめくる手が止まらないのです。
今回のブックトークでは、李良枝さんの実妹である李栄さんをゲストにお迎えしました。姉の想いを、妹として、読者として、丁寧に紐解く姿は、まるで今も姉妹が寄り添い、李良枝さんの魂と共に生きているかのようでした。
さらに懇親会では、ゲストという立場を超えたその温かさと行動力に、私は胸が熱くなりました。気配り、目配り、そしてちょっと“ガツガツ”した感じ。私はその様子に「なんて在日朝鮮人らしい方だろう」と思わず微笑んでしまったのです。現在進行形でありながら、どこか懐かしい——そうした感情が渦巻きました。
当館の閲覧室では、今も「『由煕』がある!」と声をあげて手に取る来館者がいます。李良枝さんの言葉は、いまも多くの人の心に生きている。そのことを、今回のブックトークを通して、あらためて強く感じました。(事務局 李正守)

